阪の絹糸はお幾らでっか。

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「君の刀は、攻めねぇなぁ」 「…………………えぇ? すいませんが芹沢局長……何を仰りたいのか私には……」 「あんま戰場には向いてないって事だよ 舟山君は、攻めて攻めて攻めぬいて……敵を崩す刀を持っちゃいない 上段を好んでやる癖に、防御からの展開ばかりが上手くなる あの土方の弟子なのになぁ」 「…………」 「剣だけじゃなくて柔術……いや、君のそれは護身だったか?それだってそうだ 相手を潰す技じゃなくて、あくまで自分の身を守るための技ばかり覚えている」 「………………でも流石に抜き身の刀相手には使えません 新見副長の時は、あの人が刀を抜かなかったから……」 「うん、そうらしいなぁ なぁ舟山君、君の剣は、剣術じゃあないよ …………だ」 「え?え、芹沢局長?今何と……?」 「芹沢先生、平山の奴が……ん、すみませんまだ稽古中でしたか……」 「いや、構わんよ、稽古なら先程終わった 今、行こう」 嘉一は結局何を言われたのか分からないままだったし、芹沢もその後そんな話を一向にしないものだから、忘れかけてはいたものの、こんな状況になれば不思議と頭へ湧き出てきた。 刀を振り上げ飛び込んできた男を視界に入れれば、同じようにその懐へと飛び込み、抜刀をする勢いのまま鞘を鳩尾へとぶちこんだ。 蛙を潰したような声を口から吐き出し倒れる男の下から素早く身を抜き出して、次いで向かってくる男が振るう白刃を、足を横へ裏へと上手く回ってするりと避ける。 そうして背後へと回り振り向いた男の横っ面に肘を叩き込めば、男の体が安易にふらりと揺れ、地面に倒れ昏倒する。 それを見て、嘉一は止めていた息を一度全て吐き出すようにしてまた吸い込むと、刀を両手に構え、今まで傍観していた岡田へと視線を向けた。 それまでずっと何を手出しするわけでもなく突っ立っていたままの岡田は、二人があっという間に倒れ伏したことに驚いたように目をぱちぱちとさせ、 「……なんじゃ、おまん……そんな強かった? そいつら確かに、強かぁないけど……のぅ……」 「毎日毎日しつこいくらい稽古漬けだもの、あの時よりかは……」 「でもの、やっぱりおまんはぁ、新兵衛の言う通りじゃ まだまだ、本当の戦場じゃ、戦えやしない ……油断大敵って、言うじゃろう?」 「……は?」  
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