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「……行くで」
「ちょ…っ、すばる?!」
意を決したように正面口へ進んで行くすばるくん
それを止めようと、慌てて村上くんがすばるくんの前に立ちはだかった。
「すばる…危ないって分かってて行くんか?」
「そうですよ!危ないんやったら、此処から出ない方が……」
静かに村上くんが問いかけ、便乗するようにヤスが言いにくそうに問う。
それでも、すばるくんの真剣な目は変わらんかった。
迷いがない…そう、僕は感じた。
「…俺かて不安や。でもな、今この場におらん大倉は?俺ら全員にアレが聞こえたんや…大倉にも聞こえてるはず」
たっちょんの名前が出て、皆ハッと気づいた。
同じ場面に出くわしてたら、もう既に俺らより危ない目に合ってるんかも知れん…
「すばるくん…行きましょう」
「りょ、亮ちゃん…」
「内、大倉が心配やろ?大倉と合流せな」
僕が不安な声を出すと、子供をあやすように優しい声で説明してくれた。
それを見てた他の皆が、すばるくん同様意を決したように顔付きが変わった。
「よし…なら、行こか」
すばるくんが一歩踏み出し、皆がそれに続く。
俺らは正面口からスタジオを後にした。
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