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4 復讐鬼の真意
「ヤス先輩、どこに行くんですか?」
無言の夕食が終わり、玄関を出ようとした俺をひねりが呼び止めた。
「散歩だ。おまえもくるのか?」
ニヤリと笑いかける。
「いえ……」
ああ、そうだろうとも。自分まで殺されたらたまらないだろうからな。
「俺を疑ってるんだろ?」
ひねりは否定しかけて思いとどまったらしい。
「……はい。すみません」
「正直だな。じゃあ証拠は?」
言葉に詰まるひねり。
……まあもちろん、予告状は俺が出した物だ。
「先輩、どうして犯人はあんな予告状を出したんでしょうか」
『俺が出した』と言わない所が気がきいている。
俺はそれには答えず外に出た。
涼しい夜風が全身に当たる。
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