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俺はアキからあの話を泣きながら聞かされて以来初めて、心晴れやかに微笑んだ。
そしてこの計画に最後まで付き合い――見破ってくれたひねりに心から言った。
「――ありがとうな。楽しかったぜ」
俺はアキに目配せをして、そっと頷きあった。
次の瞬間、俺達は肩を抱き合ったまま崖から海に身を躍らせる。
――そう、計画通りに。
「先輩!!」
ひねりが追いすがるがその手は俺達には届かない。
飛びおりる瞬間も、海に落ちて行く間も、俺とアキは見つめあって静かに微笑んでいた。
――もし真相が闇の中のままこの時を迎えたら、どれだけ暗く虚しい気持ちだっただろう。
「……ありがとう、ひねり――」
俺とアキは強く手を握りあう。
『死』という最後の裁きが訪れる、その瞬間まで――。
死んだ後も一緒にいられるよう、最後の願いをこめて――。
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