ある晴れた日に

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快晴 澄んだ青空を見ながらと深呼吸をしたくなるような日曜日の午前。 そんな気持ちになりながら、目の前に視線を向ける。 「いけ、オフィンスに回れ!!」 けだましいような叫びが俺の耳に届いた。 目の前には必死になって一つのボールを追う人で溢れている。 まるで、購買のパンの取り合いのような部分も一部に存在している。 「たくやーー!!頑張れーー!!」 そんな考えをかき消すように隣の幼なじみが、叫んでいた。 彼女は、綾月 優利 アヤツキ ユウリ。 永遠の幼なじみである。 と言っても彼女にとって今じゃ、俺は只の相談役としか機能していない。 というのは、叫んだ通りこいつは幼なじみの卓哉のことが好きで幼なじみで親友の俺に相談役を頼んできたのだ。 「拓哉、頑張れよ!」 俺も声援を送りながら、ポケットから扇子を取り出し扇いでいる。 「うわっ、一人だけズルっ!私に寄越せ!!」 と俺の扇子を見て、扇子を奪おうとしてくる。 恥じらいのない行動であるが、これが俺たちの距離感でもあった。
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