ある晴れた日に

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帰り道 現地解散となったアイツと俺たちは合流した。 「お疲れさま」 「お、お疲れ!」 俺とは違い、少し緊張した口調の優利。 「ははっ、そんなに疲れてないさ! 俺ならもう一試合は余裕だぜ!」 なんて軽口を叩くアイツは、 八木 拓哉。 俺と優利の幼なじみ。 小学校からずっとサッカーをしてきた。 努力と実力、どちらもある羨ましい男である。 高校では、一年からメンバー入りして今年にはもうグラウンドに立ち、先輩たちと肩を並べてるほどだ。 多分、 『お前恋してんの?』 と聞けば、 『ボールが恋人さ!』 とでも言いそうだ。 「と言っても腹減ったぜ……。やっぱ飯が先だな!」 俺の思考を無視して、いつものラーメン屋に向かおうとしていた。 待てよ……。 俺が居なくなれば、二人きりだな。 仕方ないか、それで行くぞ!! 「あ、えーと、悪い。 これからちょっと約束あるから俺、先帰るわ!」 実際は予定がないが、勝手に理由をつけて帰るとするか。 「何だよ?珍しいな……。彼女か?」 「ちげーよ」 ニヤニヤしているから即答で否定した。 「そっか、なら二人だな……。どこいこっか?」 さすがのサッカー少年も女の子には気を遣うらしい。 その後、俺は帰路についた。
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