ある晴れた日に

7/30
前へ
/30ページ
次へ
喫茶店までは数分。 真っ赤になったままの綾瀬を横に俺はただ歩いていた。 喫茶店と行っても俺が知る店は少ない。 そして、女の子と来れる店なんか優利に教えてもらったこの店しかなかった。 「ここでいいか?」 目の前にはちょっと派手でケーキ屋さんという雰囲気を醸し出している喫茶店がある。 「あっ、ここ!!」 綾瀬はどうやら知っているらしい。 妙に目が輝き出した。 もしかしたら、ケーキ好きなのかも。 なら、優利のおしえてくれたこの店は正解のようだ。 「んじゃ、入るか!」 「うん!」 俺が言うと、綾瀬も強く頷いた。 店に入ると、鈴の音が鳴り店員が「いらっしゃいませ」と声を張り上げて言っている。 やはり女性に人気らしく女の子やカップルで賑わっている。 俺らは空いてる探し近くの席に座り、メニューを選ぶ。 「綾瀬、何食う?」 「え?あっ、うん。えーと……」 俺の声を合図にメニューを念入りに見始めた。 「うーん。やっぱ、ショートケーキ!」 さっきの出来事を忘れたような元気な笑顔を向けてくれた。
/30ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1人が本棚に入れています
本棚に追加