プロローグ

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ジリリリリリリリリリ…!! ジリリリリリリリリリ…!!   …バキ!ガシャン!!   「あ…。」 またやってしまった。 これで何個目だろうか…。   今朝もまた犠牲になる目覚まし時計。 まぁ俺、 川崎 涼平(カワサキ リョウヘイ)の 安眠を邪魔するのが悪い。   いや自分でセットしたんだけど。   かけてある制服を手に取り、着替える。   「寒…。」 新年を迎えてから早くも三ヵ月が経ち、季節は春を迎えていた。 今日は始業式。   今年で俺も高校3年生。 人生で一番大事な一年になるだろう。 進路は…一応考えてはいる。   まぁ…それなりに、だけど。      「おはよう。」   階段を降りてリビングに向かうとそこには弁当を作る母の姿があった。   「母さん、今日はまだ弁当要らないって…。」 「あら、そうなの?なら昨日の内に言ってくれれば良いのに…」   朝の挨拶を返した後、母さんは困ったように手を止めた。    いや…、うん。言ったんだがな。 あれか、歳か。   「んー、仕方ないから帰って来たら食うからテーブルの上置いといて」   了解!と朝から茶目っ気な母。 親父は割りと寡黙なんだがな…。   そのままテーブルの上に常置されている食パンを一枚取りだし、ハムとチーズを乗せ、トースターで焼く。   それを食べ終えたら歯を磨いて学校へ。 耳につけたイヤホンから聞こえるのは流行りのJ-POP。  自転車に跨がり、何度通ったかも分からない通学路を走る。     何て事ない高校生の朝。   強いて言えば…   「今日はやけに雲が多いんだなー」   それぐらい。  
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