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「おっはよー!涼平っ」
学校に着き、下駄箱に向かうと不意に後ろから話しかけられた。
「おー、おはよう。今日はいつもより遅いんだな」
「うーんちょっと寝坊しちゃってねー。涼平は普段からもっと早く来ないと駄目でしょ」
まだあどけなさの残る顔でクスッっと笑うのは、
久喜 蘭(クキ ラン)
女の子のような名前、身長は160前半と小柄な容姿。
中学の時には家庭環境も含めて色々あったのだ。
詳しい話は機会があればとしよう。
「ほらっ早くしないと遅刻しちゃうって!」
そう急かす蘭だがまだチャイムも鳴っていない。
ふぅ…。真面目君かっつーの。
若干呆れつつも、早く!ほら早く!と、俺に構う蘭が可笑しくて半笑いで俺は靴を下駄箱へしまう。
上履きの踵を整えている時に不意にそれは鳴った。
キーンコーンカーンコーン…。キーンコーンカーンコーン…。
…チャイムだ。
「事情が変わった。蘭、走れ!」
「えっ!ちょ、待ってよ!ねぇ!」
俺は階段を二段飛ばしで駆け上がるがあまり運動が得意ではない蘭はついてこれない。
ウチの学校はチャイムと同時に出席が行われ、点呼時に席についていなければ、遅刻扱いになる。
普段ならば何の問題も無いのだがなにしろ始業式の初日からの遅刻は何となく嫌なものがある。
最初ぐらいはきちんとしておきたいんじゃないかな。やっぱり。
結果俺は何とか間に合ったのだが、蘭は間に合わなかった。
「先生!違うんです!涼平が悪いんです!」
そう必死に担任にアピールする蘭が何だか可笑しかった。
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