15人が本棚に入れています
本棚に追加
「おい、しっかりしろ。時期が違って運が良かったんだ。それに、あの子がこの学校を選んでいたかどうかもわからない」
「そうね……。とりあえず、あの子が巻き込まれずに済んで良かったわ。でも、学校が全壊したんじゃあ、これからどうなるのかしら?」
その時、一本の電話が鳴った。
静香が落ち着かないまま電話に駆け寄り、受話器を耳に当てる。
「はい、もしもし?」
その様子を公平が見守った。
電話は全壊した学校先からだった。
ふと、そこへ眠そうに目を擦りながら真緒がやってきた。耳より数センチ下まで伸びたおかっぱの髪は、寝ぐせではねまくり、ぼさついている。
「パパ、おはよう」
「ああ、おはよう。今日は早いな」
「うん。早くに目が覚めて、なんだか寝れなくて」
「そうか」
「パパ、あのね……学校の事なんだけど……あれ? ママは?」
真緒は学校の話を切り出したものの、ためらった。
公平は学校と聞いてぎくりとする。
「ママなら電話中だ」
そう言って静香の方を見ると、真緒もつられて同じ方を見た。
それに気付いた静香がそそくさと隣の部屋へと移動する。真緒はなんだろうかと首を傾げた。
「で? 学校がどうしたんだ?」
いつものように振る舞おうと、公平が口を開く。が、わずかに声が震えた。
最初のコメントを投稿しよう!