奇妙な出来事

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「ああ、あの……学校の事だけど……私、やっぱりここから通いたい。だから、最初に決めた学校にする」  真緒は思い切って自分の考えている事を伝えた。 やはり葛城や公平たちが勧める学園には行きたくないのだと――。 「真緒、その事なんだが……実は……」  公平が言いよどんでいると、電話し終えた静香がリビングにやってきた。顔色は随分と良くなっている。 「あなた、ちょっといいかしら?」  静香が公平を呼んだ。  公平は立ち上がり、ふたりとも黙ってリビングを離れる。それを真緒は不安げに見つめた。 数分経ってもふたりが戻らないので、とりあえずテレビをつけて朝食をとる事にした。 「たった今入った情報によりますと、昨夜11時頃に、この諸石東(もろいしひがし)中学校付近で、怪しい人物がうろついていたとの事です。えー、その目撃者によりますと……」  テレビ画面にマイクを持つ女の人が映っていた。緊迫した表情でこちらを見ている。 背景には建物がなく、かわりに瓦礫の山があった。まるで大地震が起きたあとみたいだ。  真緒は焼けたトーストにイチゴジャムを塗ろうとしていたが、諸石東中学校と聞いてすぐさま手を止めた。 「えっ……」  そして画面に映る光景を見て絶句した。 なぜなら、諸石東中学校は、真緒が通おうと決めた学校だったからだ。
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