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「真緒? 元気か? 学校が破壊されたって、さっきニュースで見たんだ。死者が出なかったなんて、信じられないよ」
「私は平気だけど……死んだ人がいなかったって本当?」
「ああ。爆破した時間が夜中という事もあって、中学はもちろん、その辺一帯は飲食店ばかりだから、閉店して誰もいなかったらしいんだ。ただひとり、中学の警備員の人が足を怪我したくらいかな。とにかく、学校が突然なくなって、真緒が不安に思ってるんじゃないかと心配になって電話したんだけど……やっぱり元気ないぞ。本当に大丈夫なのか?」
「えっ? 私、元気ないかな? ごめん。でも、本当に大丈夫だから。それより、誰も死ななくて良かったよね」
「ああ。そうだね。だけどあまり外に出るなよ? 今は危険な状態だから。といっても、爆破じゃどこにいても危険で気をつけるのも難しいけど」
「お兄ちゃん、パパと同じ事言ってる。大丈夫だよ、今は外に出たい気分でもないから」
「そっか。そんな気分て事は、やっぱり元気ないんだな。さっき、パパから真緒の学校はハイドとかいう全寮制の学園になったって聞いたんだ。知らない奴らと一緒に数年間も過ごすなんて、真緒には厳しいと思うよ」
「うーん」
真緒はうなった。
「ただでさえ転校生ってだけでいじめの対象にされかねないのに、真緒は消極的だからな。俺からもパパに話してみようか?」
「それはありがたいんだけど……いいよ、もう」
「なに諦めてるんだよ?」
「諦めてなんか……」
と言いかけて、真緒はふとある事を思い出した。
「あ、ねぇ、お兄ちゃん」
「なに?」
「今から言う事、バカにしたり笑ったりしないで聞いてくれる?」
「ああ、うん。急にどうしたんだ?」
「……悪魔がいるって信じる?」
それから真緒はハイド学園を勧めてきた葛城の事を圭一に話した。
あれは悪魔かもしれないと真緒が言うと、圭一は「そうかもしれないがそれはない」とあいまいに否定した。
「でも、あの人が悪魔なら、学校が爆破したのだって納得いくよ? あれも私を学校に行かせないためにしたのかも」
「なんでそんな事するんだよ?」
「さあ? もしかして、私を食い殺そうとしてるのかも!」
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