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「えっとぉ、黒煙ジュースに血50パーセント、キャラメルクッキー、七不思議キャンディー、ゴブリンの緑ジュース、はじけるスナック、魔獣グミを2つ、マジカルムースポッキーを2つ、あっ、あとホネホネ3つください!」
遊は一気にそれだけの量を言ってのけた。
メイド服の女の人は速やかにそれらをワゴンから取り出し、遊の前にある折り畳み式のテーブルの上に置いていく。
そして遊から代金を受け取ると、またワゴンを押しながらどこかへ行った。
「遊、頼みすぎ……」
麗華は遊のテーブルの上にある菓子の山を見て、眉間にしわを寄せた。
「今そんなに食べたら、後で向こうの料理が食べられなくなるわよ?」
「ニーニは少食だからそう思うんだよ」
「いや、お前が大食いなんだろ」と貴夜。
「その割に全然太らないから良いわよね。そういう体質なのかしら」
麗華はうらやましそうに遊の体をちらりと見た。
麗華や貴夜も細い方だが、遊はふたりよりも細く、背も低かった。身長だけ比べれば真緒とさほど変わらないだろう。
それからしばらくの間、真緒は遊が食べる菓子や麗華が飲む黒い煙を出すジュース、貴夜が飲む赤い液体を不思議そうに見ていた。
真緒がこれまで生きてきて初めて目にする物――明らかに見た事のない異質な物ばかりである。
貴夜がそんな真緒に気がついた。
「なに?」
「あ、いや……あの、それって“血”なの?」
真緒は、貴夜の飲む四角い透明のパックに入った赤い液体に視線を向けたまま、質問した。
「そうだけど……50パーセントだから、他の物も混ざってる」
「他の物?」
「……トマトジュースとか」
はたしてそれがおいしいのだろうか。それに、なんの血かわからないが、血を飲む少年なんて聞いた事がない。そう思った真緒は、怪訝な顔をした。
「お前、もしかして……いや、なんでもない」
貴夜は言いかけたが、途中で止めてしまった。
「ねぇねぇ! 今からゲームしようよ!」
どっさり積まれた菓子の半分が遊の胃袋に収まった頃、遊は骨の形をした白い菓子を手にしながら、麗華達に話しかけた。
「いいけど、なんのゲーム?」
そう言って、麗華はジュースを飲み干した。
空になったコップから、まだ黒い煙が立ちのぼっている。
「へへっ。ジャァーン! カップゲーム!」
遊はもう片方の手で大きな紙コップのような物を取ってみせた。
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