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真緒は考えているうちにまぶたが重くなり、いつの間にか眠ってしまった。
数日後の朝、公平が新聞を読んでいると、ある記事に目がとまった。記事には破壊された建物の写真が載っている。
公平はそれを読むなり目を丸くした。
そして読み終えると、すぐに立ち上がって静香のいる台所へと向かった。
「おい、大変だぞ」
「どうしたの? あなた、いきなり……」
「これを見ろ」
新聞を突き付けられた静香は、両手に持つカップに入ったコーヒーを危うくこぼしそうになった。
「もう! こぼしかけたじゃない!」
「ああ、すまない」
「そんな慌てて、あなたらしくないわ。なにがあったの?」
静香が片方のカップを公平に渡すと、公平はありがとうと言ってひとくち啜った。カップからはいれたての香ばしいコーヒーの匂いがする。
「落ち着いたかしら?」
静香はにっこりと微笑んだ。そして公平がうなずくと、なにがあったのかもう一度聞いた。
すると公平はリビングに戻り、床の上で新聞を広げてさっきの記事を指差した。
「これなんだが……」
「これって?」
「真緒の行く予定だった学校だ」
「え? 爆破で全壊? 他に周囲の建物まで?」
「いや、全壊したのはここの中学だけなんだ」
「そんな……」
顔を青ざめた静香も、記事を最後まで読んだ。
その記事の見出しには原因不明の大爆破とあり、被害にあったのは計6軒。中学校は警備が手薄だったらしく、造りが古い為に全壊したのではないか、テロの疑いもあるとみて警察は動いていると書かれていた。
「こんな田舎町に一体誰がなんのために……。あなた、私怖いわ。もし学校が始まっていて、あの子がこの事件に巻き込まれていたらって考えると……」
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