奇妙な出来事

9/15
前へ
/31ページ
次へ
真緒は考えているうちにまぶたが重くなり、いつの間にか眠ってしまった。  数日後の朝、公平が新聞を読んでいると、ある記事に目がとまった。記事には破壊された建物の写真が載っている。 公平はそれを読むなり目を丸くした。 そして読み終えると、すぐに立ち上がって静香のいる台所へと向かった。 「おい、大変だぞ」 「どうしたの? あなた、いきなり……」 「これを見ろ」  新聞を突き付けられた静香は、両手に持つカップに入ったコーヒーを危うくこぼしそうになった。 「もう! こぼしかけたじゃない!」 「ああ、すまない」 「そんな慌てて、あなたらしくないわ。なにがあったの?」  静香が片方のカップを公平に渡すと、公平はありがとうと言ってひとくち啜った。カップからはいれたての香ばしいコーヒーの匂いがする。 「落ち着いたかしら?」  静香はにっこりと微笑んだ。そして公平がうなずくと、なにがあったのかもう一度聞いた。  すると公平はリビングに戻り、床の上で新聞を広げてさっきの記事を指差した。 「これなんだが……」 「これって?」 「真緒の行く予定だった学校だ」 「え? 爆破で全壊? 他に周囲の建物まで?」 「いや、全壊したのはここの中学だけなんだ」 「そんな……」  顔を青ざめた静香も、記事を最後まで読んだ。  その記事の見出しには原因不明の大爆破とあり、被害にあったのは計6軒。中学校は警備が手薄だったらしく、造りが古い為に全壊したのではないか、テロの疑いもあるとみて警察は動いていると書かれていた。 「こんな田舎町に一体誰がなんのために……。あなた、私怖いわ。もし学校が始まっていて、あの子がこの事件に巻き込まれていたらって考えると……」
/31ページ

最初のコメントを投稿しよう!

15人が本棚に入れています
本棚に追加