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「揚羽のブローチって、母親が婆ちゃんから譲り受けたって言ってたんだよな?」
「ああ、南元さんのライターにも同じデザインのヤツがあるんだ。偶然にしては……出来すぎだろ?」
銀月は、スーツのポケットからライターを取り出し、ガクに見せた。それをガクは、ジッと見つめている。
「オレの推測だけど……揚羽の婆ちゃんが南元さんの娘じゃないかなって思うんだけどな」
銀月は、頷いた。ガクは、やっぱりかと呟く。
「オレが調べた書類では、そんな情報がなかった。しかし、柊さんが調べた結果では、ガクの言う通りだ……おそらく南元さんが個人データを改ざんしたんだろうな」
「……なんの為に?する理由がないじゃんか」
「オレもそう思った……しかし、改ざんしたのが、揚羽が来てからだったら、納得できる」
「そうだけど。なんで改ざんする必要があるんだ?血縁者が死神に居ても不思議じゃないだろ?第一、死神になった人間は、人間だった時の存在が抹消されるんだから、個人情報を調べられない限りは大丈夫なんじゃないか」
ガクが言うように、人間だった時の存在は抹消される……家族や友人たちの記憶からその人の存在は最初から居なかった様に扱われるのだ。
データを改ざんする必要は、全く無い。
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