第九話 「揚羽と南元」

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銀月が雨月書庫に向かうと、そこには、ガクのみが居た。 揚羽が居ると思ったが、彼女の姿は無い。 「ガク、揚羽ちゃんは!?」 開口一番に、その事を尋ねた。本を読んでいたガクは、困惑顔をしながら、銀月を眺めていた。 「どうしたんだよ。慌てて…」 「揚羽ちゃん、来てないか?ガクに会いにいくって言っていたから…」 「ああ、揚羽なら。少し前に南元さんに連れられ……」 「くそ、行き違いか」 ガクがそこまで言うと、銀月は、目を見開き、悔しそうに呟いた。 ただならぬ様子を悟ったのか、ガクは、本を閉じて、銀月をまっすぐと見た。
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