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「何か、あったのか?」
「……」
銀月は、答えない。
ガクを巻き込むわけにはいかないという気持ちがあったからだ。せっかく、トラウマを乗り越えて、前に進めた友人に新たなトラブルを抱えて欲しくなかったからだ。
このまま帰ろうと思い、銀月が去ろうとするのを、ガクが引き留めた。
「何かあったんなら、話してくれよ。オレも力になる」
「…駄目だ。お前を巻き込むワケにはいかない。ガクは、いつも通りにしていてくれ……これは、死神の…」
「ふざけんなよ!!」
そこまで言い掛けたが、ガクの怒鳴り声により、後半はかき消されてしまう。
銀月は、驚いて、ガクの顔を見る……目の前にいるガクは、複雑さを孕んだ表情をしているが、怒っているのは明らかだった。
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