第九話 「揚羽と南元」

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「何か、あったのか?」 「……」 銀月は、答えない。 ガクを巻き込むわけにはいかないという気持ちがあったからだ。せっかく、トラウマを乗り越えて、前に進めた友人に新たなトラブルを抱えて欲しくなかったからだ。 このまま帰ろうと思い、銀月が去ろうとするのを、ガクが引き留めた。 「何かあったんなら、話してくれよ。オレも力になる」 「…駄目だ。お前を巻き込むワケにはいかない。ガクは、いつも通りにしていてくれ……これは、死神の…」 「ふざけんなよ!!」 そこまで言い掛けたが、ガクの怒鳴り声により、後半はかき消されてしまう。 銀月は、驚いて、ガクの顔を見る……目の前にいるガクは、複雑さを孕んだ表情をしているが、怒っているのは明らかだった。
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