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その頃、揚羽と南元は、現世のとある場所に居た。
都内から少し離れた場所にある海辺だ。
日の光を受け、キラキラと輝いている。
揚羽は、波打ち際ではしゃぎながら、笑っている。
南元は、離れた位置にある流木に腰掛け、煙草を吸っていた。
「海ぐらいで、はしゃぐなんて……本当に子供だな」
「だって、珍しいんですもの」
揚羽は、嬉しそうな表情を浮かべ、南元を見た。
南元は、珍しく笑みを見せた。 いつもの笑みでは無く、どこか柔らかく、優しさすら感じる笑みだった。
「そうか。まあ、嬉しそうでなによりだ」
「ねぇ、南元さん……どうして私に親切にしてくれるんです?」
「……」
揚羽の問いに南元は、煙草を吸い、煙を吐き出した。
数秒間の沈黙が流れるが、南元が最初に口を開いた。
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