97人が本棚に入れています
本棚に追加
「どうしたの?ガク!お仕事?それとも……私たちに御用?」
揚羽は、ガクが訪ねてきた理由に検討がつかないというより、何も知らないらしく、あくまで無邪気だ。
そんな揚羽にガクは、いつもの人懐っこい表情を浮かべる。
「揚羽……南元さんに大切な話があるんだ……悪いが、少し二人にしてくれないか?」
「?……私は構わないけど、南元さんは?」
揚羽は、傍らにいる南元を見上げる。彼は、相変わらず変わらない癖のある笑みを浮かべていたのだった。
「いいぜ、桐生……」
揚羽に席を外してもらい、南元とガクは、向かい合う。
南元は、ガクが来るのを予想していたのか、余裕の態度だ。
「南元さん……オレが来た理由、分かってるか?」
「ああ、銀月から何か聞いたんだろ?大方、揚羽と俺の事だろ?」
心底、愉快そうに話す南元を見て、ガクは表情を歪めるが、すぐに表情は変わる……どこか悲しさすら感じさせる表情だった。
そんな様子を見ても、南元の態度や表情は全く変わらない。
最初のコメントを投稿しよう!