第一話 「手紙」

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高い天井に届きそうな本棚……そこには、ぎっしりと本が並べられている。 不思議な事に、それらには、タイトルが記されておらず、人物名だけ書かれている。 室内には、淡い光を放つ照明とあちこちに観葉植物が置かれ、静かな雰囲気が漂う。 「あ、あのぅ、此処……何処っすか?」 中央にあるテーブル席に座る学ラン姿の黒髪の青年が、正面に座る茶髪の青年に尋ねた。 「ちゃんと説明するから、まずは落ち着こうな!中澤史裕さん」 目の前に座る茶髪の青年が名を呼んだ……史裕は、驚きの余り、目を見開いた。 茶色に染められた短い髪、シンプルな黒いコートを身に纏う……まだかなり若い年頃と推測される青年は、人懐っこい笑みを向ける。
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