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「揚羽ちゃんのブローチに似てるなぁ」
そう呟くと、先程の銀月とのやり取りを思い出す。
(娘さんが居たって……けど、もう亡くなっているみたいだし。関係はないよな。揚羽ちゃんとの接点はなさそうだ…。何しろ、百年以上も昔だし、あるわけない)
そう思い、銀月は、ライターを片手に談話室を出た。
「銀月」
談話室を出た処で、呼び止められ、振り返る。そこには、柊が立っていた。
片手には、書類を抱えている。 いつも、柔和な表情だが、今日だけは、険しかった。
「南元の件で話がある……気になって、改めて部下に命じて調べ直させたらとんでもない事が分かった…」
そう言って、書類を銀月に渡す。ただ事じゃないと判断し、銀月はすぐに書類に目を通した……そこには、衝撃的な内容が記されていたのだ。
黙ったままの銀月を見て、柊は、口を開く。
「彼女……揚羽くんは、南元の血縁者だ」
静かで、ゆっくりとした口調にも関わらず、その台詞は、重く感じた銀月だった。
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