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「きっと戦いが終わった時、これはもっと増えて俺たちの数も増えていくんだと思う」
そうして世界は変わってゆくのだと、正義は信じているのだ。
この戦いが終えた時――。
「レイン! 遊ぼー!」
「こら! いきなり抱きつくんじゃない。危ないだろ」
どこからともなく明るい声がした。
レインに小さい正義の子が抱きつく。
じゃれあう二人の正義を見て、一人のミカタはそっと呟いた。
「もし――お前が言うような世界になったら……」
「ん?」
――多分。
「私は、それを見ることはできないだろう也な」
「……っ」
何故……?
「私は戦いを記録する者也。だから、この戦いが終わってしまったら、私は要らない者也」
――だから、きっと。
「だから、その時私は消えてなくなってしまうかも也な――」
そう言って、ミカタは空を見上げた。
遠い未来が見えないように、空もまた暗く閉ざされていた。
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