アジサイ

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「……アジサイ、見てて楽しいか?」 「うぅん、つまらなくはないよ」 唸りながら首を傾げて質問に答えてきた。 つまらなくはない、ということは、つまらなくはなくはないと言うことでもある。ん?つまらなくはなくはなくはない?ん? 「アジサイのこと、知ってる?」 迷宮入りしてそのまま悟りでも開けそうだな、なんてわけのわからないことを考えていたら、綾が話し掛けてきた。 アジサイの事とはなんだろうか。単子葉類とかそういう話か。はたまたアジサイの下には埋蔵金がある話か。 「アジサイはね、この花の奥に本当の花があるんだよ」 綾がアジサイを指さして言う。はて、花の奥とは? 「…奥ってどういうことだ?」 「見た方が早いね」と綾はアジサイの花が密集している部分を掻き分け、俺に見えるようにする。 奥には、小さいが確かに花のようなものがあった。 「ね?こっちが本当のアジサイの花」 「…なるほど。今始めて知ったよ。……でもこの感じ、どこかで見たような…」 うーん、と首を巡らしてなんだったのか探す。 と、綾の腰の辺りで目が止まり、ああ。と手を打つ。 「スカートだ」 「も、もっとちゃんとした例えにしてよっ!」
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