2人が本棚に入れています
本棚に追加
「……アジサイ、見てて楽しいか?」
「うぅん、つまらなくはないよ」
唸りながら首を傾げて質問に答えてきた。
つまらなくはない、ということは、つまらなくはなくはないと言うことでもある。ん?つまらなくはなくはなくはない?ん?
「アジサイのこと、知ってる?」
迷宮入りしてそのまま悟りでも開けそうだな、なんてわけのわからないことを考えていたら、綾が話し掛けてきた。
アジサイの事とはなんだろうか。単子葉類とかそういう話か。はたまたアジサイの下には埋蔵金がある話か。
「アジサイはね、この花の奥に本当の花があるんだよ」
綾がアジサイを指さして言う。はて、花の奥とは?
「…奥ってどういうことだ?」
「見た方が早いね」と綾はアジサイの花が密集している部分を掻き分け、俺に見えるようにする。
奥には、小さいが確かに花のようなものがあった。
「ね?こっちが本当のアジサイの花」
「…なるほど。今始めて知ったよ。……でもこの感じ、どこかで見たような…」
うーん、と首を巡らしてなんだったのか探す。
と、綾の腰の辺りで目が止まり、ああ。と手を打つ。
「スカートだ」
「も、もっとちゃんとした例えにしてよっ!」
最初のコメントを投稿しよう!