2人が本棚に入れています
本棚に追加
「あー、ユキ?何してるんですか?」
金髪碧眼の女が、頭の上にクエスチョンマークを浮かべてこちらを見ている。
こいつはヘレン・ミハイロブナ・佐藤。ロシア人ってのは、なんともまあ難しい名前だ。
日本で生まれ、日本育ち。本人は無理に英語を使おうとしてるが、実際に使えてるのはHelloとsee youだけだ。
俺のことをユキと呼んでいるのはヘレンだけだ。結城の最初と最後を取ってユキ。なんで他の奴らみたいに結って呼ばないんだ?と聞いたことがあるが、「ユキは雪ですよ!雪は素晴らしいです!」だそうだ。
人物説明終わり。今の状況を変えなくては。
「……冷蔵庫の中に、アイスが…」
言葉を発する気力すら失いかけているが、なんとか要件を伝える。
「アイス!?くれるのですか?ありがとうございます!」
ヘレンが冷蔵庫に駆け寄り、中から最後のアイスを取出して頬張る。
「……な、え?あ、ああぁあああああっ!」
悲痛な叫びを上げ、俺はうつ伏せに倒れた。
ああ、アイス。
最初のコメントを投稿しよう!