知床の夏

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「ごめんなさい!アイス美味しかったです!」 謝罪と感想をもらい、なんとも言えない気分になる。 現在、ソファに座り、ヘレンがお詫びにと買ってきたお茶を飲んでいる。 しかしこのお茶、やたら苦い…。 「お茶もくれたし、もういいけどな…。で、今日は何しに来たんだ」 ヘレンが、「おー!そうでした!」と手を打つ。 「知床まで行ってきました!やっぱり世界遺産はいいですねえ」 回想に耽っているのか、目を輝かせて宙を見ている。残念ながら、俺の脳には回想は届かない。 「19日には前夜祭、20日には知床開きがあるんですよ!……残念ながら両方とも行けませんでしたが、でも!前夜祭準備してる人に話を聞いていたらウニ貰いました!ウニ!」 一気に話が進み、よくわからない。 ウニの部分でテンションは最高潮に達したようであった。 「出来れば冬も行きたいですねえ。世界で最南端の流氷が見れますからね!あ、秋もいいですよ!熊が見れます!熊!」 な、中々騒がしい……。 ん?でも要件は話すだけか? 「なあ、話しに来ただけなのか?」 「え?はい、そうですよ」 こ、こいつ……。 「…俺のアイス返せー!」
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