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またアイツのことを思い出した…。
悲しくなる思いを振り切って、急いで電話をとりに行った。
電話の相手は、東京の大学に行った友人からだった。
彼は、アイツと俺と仲良しで、よく3人で遊んだりした。
ずっと3人で過ごしていた。
男を好きだと言った俺に対して、口には出さないもののかなり応援してくれて励ましてくれて、いつも背中を押してくれた。
電話の内容は簡単なものだった。
向こうは急いでいるらしく、忙しそうに早口だった。
まずは明後日から地元に帰ってくる、とのこと。
別れたことを知らないらしく、3人で遊ぼうと呑気に言っていた。
あと、俺に携帯電話の電源を入れろとまくし立てて電話切った。
だいぶ急いでたらしく、通話時間は5分も満たしていなかった。
電話を切ったあと、やっと携帯の電源を入れていなかったことに気がついた。
そうだ…ずっと切っていたんだ。
真っ二つに折ってしまおうかとも思った。
必要ないと思ったから。
部屋に戻ってみると、つけっぱなしのテレビから音が漏れていて、いろいろ面倒になった俺は電源を切った。
ちょうど泣ける場面を見逃してしまったらしい。
手にしたリモコンには『巻き戻し』ボタンがある。
誰がこんな機能を考えたのだろうか。
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