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深い深い森の中に二人の吸血鬼が住んでいた――。
「あぁ! ドジしちゃった! ルック、今日の朝ご飯芋でもいい?」
一人の少女がフライパンを手に持って、クルクル回す。
少女の髪は透き通るシルバー、着ている服は紅いドレス、瞳は黄色。
「何で芋なんだ? 今日は卵焼きだったはずじゃあ……」
豪華な階段から一人の青年が下りて来た。
少女はフライパンを青年に見せる。その中には真っ黒な卵焼きがあった。
「………」
「これでもいいなら……」
「遠慮しとくよ」
青年は苦笑いで少女に言う。
青年は髪が金髪で着ている服は普通のスーツ、瞳は血の様な紅い色だった。
「じゃあ庭にある芋を取って来るね」
少女は嬉しそうにドアに向かった。
二人は見た目は普通の人間と一緒だった。でも、二人は人間ではない。
吸血鬼――。二人は絵本や漫画などでよく出てくる吸血鬼だった。
でもニンニクは苦手ではなく、十字架も苦手ではない。
大好きな人間の血も、毎日飲んでる訳じゃなかった。
そんな二人にいつもと変わらない毎日が来るはずだった。あの二人が来るまでは………。
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