†二人の吸血鬼と二人の人間†

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「ぁ……」 声に鳴らない声を上げるマリア。彼女は信じられなかった。 そこには堂々と、赤いバラの庭と白い城が建っていた。 「し、城!?」 ようやくマリアは喉から声を絞り出す。 「あぁ、ここにいるんだ!!」 ラックはニッコリ笑って言った。 (何でこんな所に? こんなに大きいのに誰も知らないの? だ、誰かいる……) マリアの頭には沢山の疑問が浮かび上がって、また消える。 ただ彼女の目は、庭にいる美少女を見ていた。 「あ、あの人?」 「ん? あぁ、実はさ、聞いたみたいな事言ったじゃん? あれ実は嘘。ごめん」 ラックが急に謝り出すのも、マリアは分からない。 「本当は一回来たって言っただろう? その時に会ったんだ。その、まだ話したりはしてないけどさ」 照れ臭そうに言うラックをマリアは見ず、その美少女に目を奪われていた。 「ねぇ、ラック」 「あっ、はい?」 ラックはマリアを見て首を傾げた。 「話し掛けましょう」 「それは早すぎじゃああぁぁぁっ!!」 ラックの声は最後、叫び声になる。それはマリアがラックの手首を、強く掴んで引っ張ったからだ。 二人が美少女に話し掛ける直前。 「ん?」 雲から太陽が顔を出し森に光が射す直前。 「きゃあっ」 美少女は小さな悲鳴を上げて、太陽から逃げるように城の中に入った。
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