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周りは豪華なシャンデリア、壁には山ほどの宝石、床は透き通った白色。
「……すげぇ」
ポロッと本音がラックの口からこぼれた。
「お金持ち?」
マリアはキョロキョロと見渡す。ラックはマリアの袖を掴んだ。
「何?」
「えっと、帰ろうぜ? なんか知ったらいけない感じだし……」
マリアはムッとして強くラックの手を振り払った。
「じゃあ、貴方がここに私を連れて来なければよかったのよ!!」
「えっ、あっ、あの……」
ツカツカ歩いて行くマリアを、ラックは見る事しか出来ない。
「じゃあ、出ていくわ。ラックがそう言うならね!」
強く叫んでラックを見た。でも、ラックは口をパクパクしているだけ。
「……?」
マリアはラックが自分の後ろを指しているのに気付く。
後ろをゆっくり見ると、そこには美少女と美少年が立っていた。
「君達誰? 魂食いかな? それとも人食いかな?」
美少年は首を傾げてマリアの瞳を覗く。
「……ぁあ」
マリアは恐怖感を抱いて何も喉から出ない。
「人間みたいよ? 人間の匂いがするわ」
美少女がそう呟く。二人の声は風の様によく城の中を透き通る。
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