†二人の吸血鬼と二人の人間†

6/10
前へ
/648ページ
次へ
周りは豪華なシャンデリア、壁には山ほどの宝石、床は透き通った白色。 「……すげぇ」 ポロッと本音がラックの口からこぼれた。 「お金持ち?」 マリアはキョロキョロと見渡す。ラックはマリアの袖を掴んだ。 「何?」 「えっと、帰ろうぜ? なんか知ったらいけない感じだし……」 マリアはムッとして強くラックの手を振り払った。 「じゃあ、貴方がここに私を連れて来なければよかったのよ!!」 「えっ、あっ、あの……」 ツカツカ歩いて行くマリアを、ラックは見る事しか出来ない。 「じゃあ、出ていくわ。ラックがそう言うならね!」 強く叫んでラックを見た。でも、ラックは口をパクパクしているだけ。 「……?」 マリアはラックが自分の後ろを指しているのに気付く。 後ろをゆっくり見ると、そこには美少女と美少年が立っていた。 「君達誰? 魂食いかな? それとも人食いかな?」 美少年は首を傾げてマリアの瞳を覗く。 「……ぁあ」 マリアは恐怖感を抱いて何も喉から出ない。 「人間みたいよ? 人間の匂いがするわ」 美少女がそう呟く。二人の声は風の様によく城の中を透き通る。
/648ページ

最初のコメントを投稿しよう!

316人が本棚に入れています
本棚に追加