異変と疑念と

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 待つこと15分。やっと水戸行きの普通電車に乗った。 「で、何の映画見んのさ」  二つの吊り革にぶら下がるようにしてる幸一。  ボクと青木はシートに座ってる。 「昔の映画なんだけどよ。俺らくらいの子供がロボットに乗って戦うんだ」 「はぁ?」 「あぁタイトルが出てこねぇ…」 「わかんないね」  青木は必死に思い出そうとしてる。これから見に行くのにタイトル忘れるかな…。幸一はもうどうでもいいのか、ぼ~っと景色を眺めてる。なんとなくボクもそうしてた。  水戸駅に到着。県庁があるからか一応駅は大きい。でも改札口は一カ所。北口には水戸黄門の像がある。顔が変。  シネコンは南口だからそっちに向かって歩く。近いんだよ~5分も歩かない。  あっという間に到着。 「…あ」  青木がちょっと間の抜けた声を出した。 「どうしたの?」 「次まで1時間あるな…」 「勘弁してくれよ~チェック入れとけよな」 「……悪ぃ」 「ゲーセン行こうよ。隣だしさ」 「そうすっか」  一旦出て隣にあるゲーセンに入った。入口近くには、やたらキャッチャーゲームが置いてある。どうやったら取れるのってくらい大きい縫いぐるみとか、絶対に動きそうもない大きめの缶に入ったお菓子とか。向きが絶対におかしいフィギュアとか。 「お、カートあんじゃん。勝負しねぇ?」 「いいねぇ、ぜってぇ負けねぇ」 「えぇ~ボク苦手なのに…」 「負けたら映画でジュースおごりな」 「えぇぇ!?」  理不尽な勝負が始まりました。ボクはレース系のゲームは苦手。結果はボクが3位。はいはい、奢り確定です。
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