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しばらくするとお母さんが戻ってきた。お母さんが言うには、このあと病室を個室に移すって。話してるお母さんの顔がいつもより真剣な感じがした。
歩けないわけでもなかったから、別の階にある個室まで歩いて移動した。看護師さんが車椅子を用意してくれてたけど。
病室を移ったあとに、またお母さんが先生に呼び出されていった。病室に一人でいると、女の先生が来て。
「上條瑞穂さん?」
「…はい」
「あなたのカウンセリングを担当します、林田です。よろしくね」
「はぁ、よろしくお願いします」
風邪でカウンセリング?なんて考えてると、林田先生がちょっとごめんねと、上着を持ち上げ中を覗き込んできた。
「ちょっ…!」
「ごめんなさいね。確認したかったから」
とか言いながら持っていたボードに何か書き込んでる。いくらボクが男でも、いきなり胸元を覗かれたら慌てるよ。
「今気分はどう?」
「びっくりしました」
「クスッ。そうじゃなくて、気持ち悪いとかない?」
「はい、それは大丈夫です。あの…ボク風邪なんですよね?」
「それについては、あなたのお母さんから話して貰えるわ。私の仕事はそれからだから」
「はぁ…そうですか」
「それじゃまたあとでね」
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