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「ベロボーグ……ねぇ~」
光太郎はいぶかしみの目で彼女の姿をマジマジと観察する。
どこからどう見てもやはり沙姫に他ならない。
「っで? ベロボーグ、お前は一体何者だ?」
再度に渡る質問。
ベロボーグは一呼吸だけ置く。
別に時間を稼ぎたいという訳ではない。
単純に、説明に一呼吸の間が必要だったからだ。
「私は、あなたの前の〝創造の化身〟を担っていた者です」
あっさりと、ベロボーグは言ってのけた。
だが、そんな事が頭に入らぬ位に光太郎は思考停止がされた。
「あんたが……〝創造の化身〟か――」
光太郎はゆっくりと彼女の言葉をなぞった。
「滝川さんは知ってたのか?」
彼を見ると申し訳ない――とばかりに頭(こうべ)を垂らしていた。
「別に自己嫌悪の必要ねぇから。単純に驚いただけだしよ」
しかし、驚いたのも所詮は一瞬――そう言われては元も子もないが。
とにかく、光太郎は話を促す。
聞きたい事は星の数より少なく、内容は谷底よりももっと深い。
もっと情報は必要だった。
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