創造と破壊

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「それは、私が世界を渡るのにこうなってしまうからです」 ―――はい? ベロボーグの言いたい事がいまいち伝わらない。 頭で一旦整理し直す。 「つまり……別の世界で役目を終えたから次の世界に行こうとする。  けど、その為には誰かに乗り移る必要がある――って事か?」 二次創作に見られる憑依タイプのものか。 魂だけの存在からも想像はし易い。 ベロボーグが世界から世界に渡るには誰か別の体を必要とする。 「かいつまめばそうなります」 恐らく乗り移れるのはランダムだ。 でなければ好き好んで物語の核となる人物に憑依するものか。 今回、世界を渡った先にたまたま主人公(沙姫)と居合わせただけ。 「けど、それだけだと俺が連れて来られた説明にならんぞ」 別に光太郎を引き込まずとも解決できるだろうに。 「イレギュラーとなる人物が欲しかったんだ」 答えたのは滝川。 「イレギュラーね~、〝創造の化身〟が聞いて呆れるわな」 イレギュラー=とんでもない原作クラッシュ。 自ら〝世界の破壊〟に手を貸すとは――〝創造の化身〟の名は剥奪されよう。 しかし、今この場にそんな権限を持つ者はなし。 第一に“困る事でもない。” 綺麗事を言えば、世界を別の方へ新しく作る。 つまり、ここはアニメの世界だ。 原作に乗っ取り、世界を進んでいる。 が、それが何らかの形で砕けたら? 新しく物語を“作り直してしまえば早い。” 単純に、辻褄を合わせる為に世界に変革をもたらす。 光太郎が担う〝創造の化身〟の仕事はそういうものである。
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