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「見つからなかったって言うが、お前は気付いたんじゃないか?」
光太郎は滝川にではなく、ベロボーグに尋ねる。
「本来なら……でも今回は無理でした」
「何でだ?」
「別の力が働いていたらしく滝川との更新はおろか、私自身が意識の表層にも出れませんでした」
ベロボーグは淡々と言う。
表情に変化はないが、これはかなり深刻な問題である。
「おいおい、俺以外にもイレギュラーが居んのかよ……」
本当に嫌な顔をする。
そんなにめんどくさい所にまで発展してるとは嫌になる。
「勘弁してくれよな」
只でさえ逐一に面倒事が起きるのに、いかにも根が深そうな事にまで首を突っ込まなければならない。
小説や漫画の主人公の気持ちが段々分かってくるとは。
「そっちで解決を――」
「残念ながら無理ですね」
ベロボーグはバッサリと切り捨てた。
光太郎はまた一つ盛大な溜め息をつく。
それ以外に彼の取りたい行動はなかった。
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