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―――そういや覚えてなさそうだな。
光太郎は談笑する沙姫を見て思う。
一昨日に何があったのかを彼女は当然と言えば当然だが、知らない訳だ。
ひょっとしたら聞いていたかもしれないという考えも杞憂に消えた。
「? 光太郎、どうかした?」
沙姫が固まっていたタイミングの光太郎に言った。
まさにドンピシャだったから光太郎は少し身震いした。
「何がだ?」
「だって、さっきからページが進んでないみたいだし」
意外と鋭い。
「ああ、ちょっと考え事してたからな」
変に誤魔化さず、内容を暈(ぼか)しながら素直に告げた。
「そう? なら良いけど」
沙姫は会話もそこそこにミュウと静香と雑談を始める。
「どうでも良いが、昼休み終了まであと10分切ったぞ」
光太郎の一言で皆が我に返る。
雑談を区切り、残っていた弁当を腹に放り込む。
「やれやれ」
小さな呟きをしながら嘆息していた。
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