2つの物語を解決する為に

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「待ちたまえ」 歩きでトボトボと敵の本拠地に向かう哀愁漂う主人公に掛けられる声。 黒い髪、葬式などで着ていそうな黒の服。平凡な顔立ちの青年。 だが、目が死んでいるように生気を全く感じないにも関わらず裏腹に存在感を強く感じる。 猿山隆司が光太郎の前に立っていた。 「……何か用かよ」 いきなり敵意は剥き出す。 猿山はチェルノボーグを連れて来た張本人だ。 仲良くする義理はない。 「まあ、そう言うな。今回の件はこっちも預かり知らぬ事だ」 「そうか、ならどいてくれ。俺が急いでるのは知ってるだろ?」 猿山を睨みつける強い視線は変わらない。 「用件はこれだよ」 猿山はぶっきらぼうに告げると、カードを2枚放った。 重力を無視しながら、真っ直ぐに光太郎の元へ届けられる。 反射的に受け取ったそれは“光太郎が使用するアームズ専用のカードだった。” 驚き、言葉が出ない。 目の前の男は、いかにしてこれを入手したのか? しかも、これは光太郎が持たぬ武器(カード)である。 「お前、これを一体どこで――」 「我々の目的はあくまで世界のバランスが保たれる事だ」 光太郎の言葉を遮って、猿山は続ける。 「〝破壊の化身〟やら〝創造の化身〟の役目があったとしても、根本は変わらない。世界のバランスが保たれるなら、こちらは誰でも手を借り、貸す算段でいる」 「なるほどね~。つまりは俺がこれから行動を起こせばバランスが保たれる。だから、お前は俺に力を貸すんだな?」 「そういう事だ。  今回、チェルノボーグはやり過ぎた。それを止められる可能性を持つお前を――こちらは止めるつもりはない」 猿山は事務的に言う。 「そうかよ、なら……遠慮はしねぇ。こいつは貰うぞ」 光太郎は渡された2枚のカードを見せる。 猿山は無言で頷き、了承してくれた。 光太郎はカードを懐にしまうと、猿山を横切って前へ進む。
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