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「少々お待ち下さい。只今お継ぎします」
ホテルのフロントの受付嬢が電話をどこかに掛ける。
そこに遼太と志津久、朔、燦は居た。
ここに来た理由はたった一つ。
静香とミュウの奪還だ。
とりあえずは正攻法で取り次いで貰えるかの確認をと思って尋ねてみた。
「はあ……分かりました」
係りの人は受話器をおいて、遼太達に結果の程を報告した。
結果は×だった。
アポ無しでは接触は難しい。
『突○!! 隣の○ご飯』みたいにいっそのこと突入できれば良いが、この時間帯は人の目もある。
下手な事はするまいて。
「これからどうしましょうかね」
志津久はフロントにある四人掛け席に座り込む。
飲食店みたくテーブル1つに席が2つずつ向かい合うように用意されていた。
そこにひとまず座る事にする。
「正攻法はダメな訳だわね」
「そうなるな」
志津久は腕を組みながら、分かってる事を挙げた。
隣に座る遼太は苦笑しながら意見を投げる。
「じゃあ、度肝を抜かれる事をしたら……どうかしらね」
志津久は懐に忍ばせていた拳銃を取り出した。
志津久がそんなものを持ってる事に関しては耳が痛くなる。
もちろん、本物を持ち歩いているはずはない――だが、この場では十二分にその威力をさぞかし遺憾無く発揮し、振り回されている。
弾も金が掛からない。
いわゆるモデルガンだった。
次に遼太達の耳に届いたのは発砲音だった。
ただ発砲音というのは音だけで、実際には口で真似たのだ。
全く無駄なスキルと思う事なかれ。
これで誰かの声真似も可能で、悪戯には重宝するスキルなのだ。
「さあ!! 命が欲しければ目をつぶって両手を挙げなさい!!」
モデルガンを受付嬢に向ける。
「相変わらず、無茶苦茶してくれるよな」
長年の付き合いから、遼太、朔、燦には志津久の犯した行動は謝罪ものになるほどに、手段を選ばない。
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