2つの物語を解決する為に

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狭い廊下では間合いはそんなに取れない。 「大丈夫ですか? 遼太様」 「な、何とかな」 傷口を抑えずに立ち上がる。 遼太は“この程度の”傷は何度も負って来た。 裏稼業を行う上村の家(遼太と徹也だけだが)は危ない橋を渡ってきた。 それに……静香とミュウが誘拐されたのだ。泣き言を言ってる暇はない。 「ぐっ……」 遼太は黒刀を自由な右手に持って立つ。 「さあ、続きと行こうや」 黒刀の先っぽをジョーカーに向ける。 「まあ、そう来ると思った」 ジョーカーも石剣を携える。 「こっちも本気でやろうか」 床に石剣を突き立てる。 遼太と朔の足元が緑色に光る。 直感的に危ないと判断し、跳びのく。 ちょうど、2人の居た床から人間大の石でできた円錐が出た。 「けったいな能力を使いやがって!!」 遼太は黒刀を持つ手を強める。 「ならこっちも――」 遼太は突っ込む。 「真正面から来るか!!」 再び床に手を付くジョーカー。 少し手前から石でできた槍が床から発射される。 それは数百に及ぶ。 「狭い廊下に逃げ場はないぞ」 含み笑いをしながら言うジョーカー。 「いや、逃げる必要はねえ」 止まる事なく遼太は更に加速する。 遼太の後ろから槍の数を更に上回る形でナイフが複数飛んでくる。 寸分違わず槍とナイフがぶつかり合い、相殺される。 言葉が出ない程に唖然としてしまう。 「驚いてちゃダメだろ」 遼太はもう目前に迫っている。 「くっ!!」 石剣を遼太に向ける。 勢いを付けて刃が伸びる。 「へっ!!」 遼太が鼻で笑って、黒刀を横へ振るう。 伸ばされた石の刃と激突して――ジョーカーの持つ石剣が“霧散した。” 「なっ!? バカな!?」 「お前と俺の力じゃ相性が悪過ぎたんだ」 驚くジョーカーを無視して自分の間合いに入れる。 「石を作り出すだけじゃ、俺には勝てねえよ」 ブンッ!!と黒刀を振るう。 「出直して来い!! てめぇの狂った信念は俺が切り裂いてやる!!」 遼太の黒い刃はジョーカーの右肩から左の腰を切り裂いた。
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