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「恋バナは終わったかしら?」
志津久と燦の行く先に立っている人物。
赤い髪、紅い眼を鋭くして目付きの悪い女。
ヘクセというジョーカーの仲間だ。
「まさかとは思ったけど、あんたも居たのね」
志津久は鋭い視線をたたき付ける。
ヘクセはそれを受け流し、志津久と燦を品定めするように交互に見る。
「静香とミュウを助けに来たのね」
さも、面白そうにヘクセは聞いた。
「そうよ。文句でも言いたいの?」
「いえいえ、滅相もない。ただ――ね」
意味のある笑みをヘクセは作る。
「楽しみだな~って、どっちに転んでも面白い展開が待ってると思ってさ~」
鼻歌を歌い出してもおかしくない程に彼女の気分が高揚しているのが伺える。
「どういう意味よ?」
「さあね。知りたければ――私に勝てれば分かるわ」
わざわざ『勝てれば』と仮定したのが嫌らしい。
それは志津久はもちろん、燦の神経も逆撫でした。
「言ってくれんじゃないのさ」
志津久の艶のある綺麗な黒髪が全てを焼き尽くす紅い髪に変わる。
透き通るような黒い目は見るだけで燃やしてしまいそうな程に紅い目へ変貌を遂げた。
「死んで、後悔するんじゃないよ!!」
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