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床を転がるヘクセ。
それを追撃する形で、志津久は駆けた。
「そう簡単に――」
ヘクセは回転しつつも、体勢を立て直す。
「倒せると思うな!!」
ボォッ!!とヘクセの身体から炎が吹き出る。
彼女を包み込むように炎が纏われる。
「おっ、と」
志津久も追い討ちを停止する。
さすがに手が出しづらいらしい。
「志津久お嬢、これを」
今まで傍観していた燦が志津久の傍に近寄り、自らの武器である大剣を手渡す。
「悪いわね、助かるわ」
志津久はそう言うと大剣を受け取り、ヘクセに向ける。
「燦――あなたの力を借りるわね」
言葉は背に立つ使用人に向けられた。
「思いっ切り行っちゃえ!!」
燦から匙が投げられる。
志津久は柔らかな微笑をして、
「もちのろんよ!!」
古臭いセリフを残して……駆けた。
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