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「あのさ、さっきから何の会話してるのよ」
ミュウがジト目で睨む。
会話の内容は彼女には分からぬ事であろう。
むしろ付いて行けるなら恐い。
「んま、早い話が気にするなって事さ」
光太郎は言うと再び弁当を食べ始める。
「それで、さっきから黙ってるけど静香はどうかしたのか?」
先程から黙々と食べ続ける静香に言葉のボールを投げた。
なるべく取りやすそうにゴロで。
「え? あっ、ごめん……聞いてなかった」
しょんぼりとした顔で静香は言った。
どうやら放ったゴロのボールを盛大にトンネルしてしまったようだ。
「何だ? めんどくさい事があったのか?
それなら言うなよ。めんどくさい事には関わる気は毛頭ない」
「ちょっと!! そんな言い方……」
ミュウが怒るのも無理はない――が、それを制したのは沙姫だった。
「まっ、でも友人を放っておく訳にはいかないからな。話せよ」
もはやメチャクチャじゃないか?――そう言えるはずもない。
「私ね、今週お見合いさせられるんだ」
だが、意外にも静香は語り始めた。
ミュウは光太郎の発言とそれに応えた静香に仰天から目を丸くし、沙姫は光太郎の発言は「当たり前」と化したのか特に反応はなかった。
それでも静香の方には驚きを見せ、耳をそちらに集中させた。
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