会話開始

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「いつまでニートなのボール」 「ボールがボールカゴにいて何が悪いんだい? それより、二階のギャラリーに乗った仲間を助けてあげてよ。面倒だろうけど、埃っぽくてイヤなんだあそこ」 「いい加減にしてよ。使われないボールなんて、ボール失格じゃない」  私はそう叫んで、体育館から飛び出した。今日の体育館は、やけに倉庫が臭かった。  次の朝、体育館に来るとボールの姿はなかった。  私は急に不安になって、体育館中を探し回った。すると顧問の先生が来て、私に古いボールは処分したと告げた。  私はがくぜんとした。ボールが、あのボールが処分されたのだ。  原因は、もう寿命だったそうだ。空気が漏れだし、入れても入れてもブヨブヨの状態だったのだ。  私がバカだった。  ボールは気付いていたのだ。自分を使えば、皆が不快になると。  ボールの中の空気は、ずっとそこにあった為かかなり臭い。もう半端なく臭い。それがボールには分かっていたのだ。  そして私は気付いた。ボールに不満をぶつけたあの日、既に臭いが漏れていた事を。  ボールと会う最期のチャンスに、私は怒鳴って別れてしまったのだ。  私はその日は練習に身が入らなくて、先生に言って早退した。そしてずっと、家の布団にくるまって声をこらえて泣いた。 *  ボールを失ってから数日、新しいボールがやってきた。皆新品の匂いがして、皆白く輝いていた。  でも私はあのボールを失ってから何か心に穴を空けられたみたいで、苦しくて、虚しかった。  プレーヤーの皆は新球を手にしてはしゃいでいるけど、私はそんな気にはなれなかった。  その時、私がパスを始めようと手をつけた新球が、挨拶とでも言わんばかりにこう言った。 「また、よろしくな!」
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