Ⅰ ~入学、或いは募る思い~

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雀のさえずりが聞こえる、なんともありふれた朝。 「………よっこらせ、っと」 我ながら爺臭いな、こんな目覚めは。これも年の功か。いや、まだ若いし大した事はしてないけど。 そんな朝に華を添えてくれるのが、枕元に置いてある目覚まし時計のアラームである。 まん丸のボディに水色の水玉模様。ずいぶんと可愛らしいデザインである。男の部屋には似付かないだろうが、大事な貰い物だ。 去年の3月、志望校の合格通知を受け取った日に(これに関してのエピソードは非常に長ったらしいので省略)、一緒に合格した幼なじみと卒業記念にペアで買った物である。 と言うよりは、お互いに買ってあげた、が正しいな。 俺はピンクのアメ玉模様の物を、彼女は水色の水玉模様の物を購入し、お互いにプレゼントした。 余談だけど、彼女の照れた表情は非常に眼福ものでした。いやはや。
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