二章

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「さてと、どうするかな」  そんな一人言を呟くエクシブだが、足が向く先は決まっている。言うまでもなくギルドだ。  五大国の中継地となるだけあって様々な人種が行き交う街。  ふらふらとギルドに向かうエクシブはある人物を発見した。  黒い長い髪を後頭部で止め、それはまるで馬の尻尾の様に揺らしている女。  街娘にしては飾り気がなく、職人にしては軽く、汚れてもいない。  変わっていることといえば、人としての気配がやたらと薄い。  たまたま視界に入ったから気づいたエクシブだが、そうでなければ人がいたことにすら気付かなかっただろう。  だが、それ故に間違いない。  確信したエクシブは名前を呼ぶ。 「キックス!」  不意に呼ばれ振り向く女。 エクシブに気付き笑顔で近づいてきた。 「グラン=エクシブ! どうしたのです? こんなところで」  前回の事件で主犯として名前を使われていた暁の傭兵、黒蜥蜴ことキックスである。 「これからギルドに行って時間を潰そうかと思ってな。お前こそどうしたんだ?」
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