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馬車の外では、単独で馬に乗り、まわりを監視する赤髪の少年がいた。
名はジャンク。
港町バンガードを拠点にした傭兵団、蒼き狼に所属する一端の傭兵で、若いながらもなかなか腕のたつ立派な戦士だ。
革のベルトと鞘に繋がりぶら下がった鎖が馬の振動でカチャカチャと金属の擦れる音がなっている。
狼で認められた者だけが持てる、特有の武器であり、使い手もジャンク以外エクシブは出会ったことはない。
自分のことを見ているのに気付き、ジャンクは馬を近づけ話しかけた。
「姐さんは起きた?」
ジャンクは何故かココのことを姐さんと呼ぶ。
エクシブはココを一瞥した後、ふっと、笑い言う。
「さっき起きかけたが、また沈んだらしい」
肩を竦めてこたえる。
すると、ジャンクは「お気楽なものだ」と、笑いゆっくりと持ち場へと戻っていく。
「はふっ」
そんなことを言われているとは気付かずに眠るココは、自分の尻尾が鼻に触れたらしく、変なくしゃみをした。
ジャンクとの出会いは、なかなか面白い。
まだ、エクシブたちがカトレアに滞在していた時に偶然出会ったのだ。
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