二章

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「今日は暇なので散歩中です」  傭兵の立場としてはエクシブはキックスよりかなり上位の者となる。  とは言え、身内に平常時すら敬語を使われるのは嫌な様で、エクシブは笑顔で告げる。 「こんな街中でそんなにかたく話すこともないだろ?」  すると、キックスは傭兵の顔から年相応の娘の顔となる。 「わかったよ、リン兄」  キックスとエクシブは同じ孤児院で育った義理の兄妹である。故に、流れでそうなったとは言え、この前起きた事件で彼女を手助けし、共に行動していたのだ。 「ところで暇だとか言ってたが、その後の処理は終わったのか」 「なんとかね。今は仕事しながらお金稼いでる。今日は休み」  キックスの言葉に表情を歪め聞く。 「仕事? お前、たしか停職中じゃなかったか」  停職中の依頼はご法度だ。それを察したのか笑いながらエクシブに言う。 「仕事と言っても軽い荷物や手紙の配達とかだよ。ギルドから暁に詳細を送ってもらったのはいいけど、復帰するのに一度ステージアに戻る必要があるしね」  キックスは苦笑いで続ける。 「さっさと帰りたいんだけど……、先立つものが、ね」
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