二章

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「何を言っているんだ? 違反なんかするつもりはないぞ」  しかしダグラスは信じられないと言った顔で更に問う。 「なら、後ろの黒蜥蜴は?」  エクシブは一度振り向きキックスを見た後、にやりと笑いダクラスに言う。 「違反はしないが策がある」  違反はしないが。  この言い回しに正当性を疑問視するダグラスは、無言で手招きしエクシブたちをギルド長室へと迎えた。 扉の先は壁が分厚く、窓もない小部屋。あるのは小さなテーブルが一つだけ。  機密事項や表立って出来ない依頼を受ける場所である。 「で、何を思い付いたんです?」  蝋に火を灯しながら問うダグラスにエクシブは言う。 「自己防衛の為の抜刀を利用出来ないかと考えてるんだ」 「防衛抜刀を? 自分に危険が訪れた場合のみ抜けるあれですか」  通常生活時、依頼最中や訓練ではない限り傭兵は人に向けての抜刀は禁じられている。  とは言え、そこらで戦が拡がる物騒な世の中である。危険が迫ってしまえば、そんなことを言っている場合ではない。  故に自らの命を守る為にのみ、武器を抜くことが許される。  それが防衛抜刀である。
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