一章

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 用事も無いのに、ココに会いに来る客は多い。  ならエクシブは? と、言えば、いつも暇を持て余しており、基本的にココが店番をしているときは読書に勤しんでいたりする。  剣がよく似合う傭兵のエクシブからは想像が難しいが、意外とおとぎ話や伝説ものが好きなようで、店に数冊しかなかった棚に、いつのまにやらそれらの本が増えていた。  いつものように読書にふけるエクシブ。読み終えた本を片付け、違うものを取ろうと立ち上がったときココに声をかけられる。 「リン、交代ついでに師匠のとこで補充品を取りに行くから手伝ってくれんかの」 「わかった。荷台はいるか?」 「いや、二人がかりなら手持ちで充分よ」  すると、商店の代表を任されている女将が言う。 「ココちゃん、会長のとこに行ったらそのままあがっちゃっていいわよ。今日はもう、ちゃんとしたお客さんは来ないでしょうし、店も早めに閉めちゃうから、荷物は明日の朝一に持ってきてくれればいいからね」  女将はやたらとココに甘い。  まさに猫可愛がりだが、ココの本性は狐だったりする。 「うん、お言葉に甘えさせてもらうの。お疲れよ」
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