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「お前なぁ──」
顔に手をやりしてやられた、と言った顔で呟くエクシブに、ココは自慢気に言う。
「ぬしがウチをあしらうなんぞ、百年早い」
「百年も生きてられないオレは一生からかわれるってこと──」
言った後に気付くエクシブ。
ココは苦笑いしながらこたえた。
「ま、まあ、ぬしは一生ウチには勝てぬということよ」
普通に返すココだが、エクシブの言葉は違う捉え方をされたに違いない。
勿論そんなつもりはなくエクシブは、いつも通りに嫌みを返しただけだったのだが──。
「それは、そういう意味じゃ──」
狼狽え返すエクシブだったが、ココは歩を早めて前に出ると、エクシブの腕をひっぱり口を開く。
「服屋で遅れてしまったからの。酒場ではウチが奢ってやんよ」
すっ、と話題を変えた。
狐は耐えた。これ以上この話は互いに良くないと判断したのだ。
だからエクシブは敢えて謝罪をすることもなく、歪めた顔を笑顔に変えて言う。
「オレの呑む量を知らぬわけじゃあるまい? 支払い時に後悔しても遅いからな」
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