二章

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「──ス、スカーライ?」  変わった態度よりも、名前に反応するエクシブにグルーは驚いた顔をして聞く。 「ほお、知っているのかグラン=エクシブ。流石は名のある傭兵と言ったところか」 「スカーライ家の名を聞いたら、オレどころかうちのシュトルム将軍すら霞みますよ」  喧嘩を売った相手が相棒と仲良く話していると言う微妙な空気に得体の知れないものでも見るかのように顔を歪ませているココ。  それに気付いたエクシブは「すまん」と苦笑いで呟き説明を始めた。 「スカーライ家というのは大陸の西で有名な伝説の騎士と称される一族で、童話や英雄伝では欠かせない名だ。店の本棚にも何冊か本があるぞ」 「ああ、ぬしが暇潰しに読んでいたあれかよ」  二人の会話にグルーは言う。 「それらはご先祖のはなしだからな。尾ひれが付いてどこまで本当だかわかりゃしないさ。……さて、そろそろ本題に入ろうか」  本題、それはキャラバンに対しての護衛の報酬。  グルーはにやりと笑い告げる。
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